古物商許可を取れない人(欠格要件)について

古物商許可欠格要件

古物商許可は誰でも取得できるのですが、一定の欠格要件に当ては場合は許可を取得することができません。古物商の許可をとるために正式正確な書類をそろえて提出しても、確実に落ちてしまう人というのが存在します。この条件を欠格事由と言い、これに当てはまると許可を取ることができません。

古物商許可の審査にかかる標準処理期間はおよそ40日間とされており、その間、警察署では申請者が欠格要件に当てはまらないかを確認しています。もし隠して申請した場合も絶対にばれてしまいます。

ですので、欠格要件に当てはまっている場合に、許可申請が通ることはまずありません。これは、古物の盗品などの流通を阻止するために行われていることでですので厳格化されています。

古物商許可を取るために膨大な資料を集め、難しい内容を見ていく必要があるため、欠落事由を抑えていないと、大きな費用や時間を無駄にしてしまうこともありますので、事前によく確認しておくことが必要です。古物商許可と開業準備を同時進行で行う場合も多いと思われますが、その開業準備自体が無駄になってしまうこともありますので注意が必要です。

もくじ

欠格要件とは

古物営業法第4条では次のように記載されています。

公安委員会は、前条の規定による許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、許可をしてはならない。

そして欠格要件には次の10項目があります。

1.成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
2.禁錮以上の刑に処せられ、又は第三十一条に規定する罪若しくは刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百三十五条、第二百四十七条、第二百五十四条若しくは第二百五十六条第二項に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなつた日から起算して五年を経過しない者
3.集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
4.暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第十二条若しくは第十二条の六の規定による命令又は同法第十二条の四第二項の規定による指示を受けた者であつて、当該命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しないもの
5.住居の定まらない者
6.第二十四条の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)
7.第二十四条の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該取消しをする日又は当該取消しをしないことを決定する日までの間に第八条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(その古物営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で、当該返納の日から起算して五年を経過しないもの
8.営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が古物商又は古物市場主の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び第十号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
9.営業所又は古物市場ごとに第十三条第一項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者
10.法人で、その役員のうちに第一号から第七号までのいずれかに該当する者があるもの

このように、厳格に定義されています。

法律の文言で分かり難いでうね。

分かりやすく言い換えると次のようになります。

欠格要件

1.破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者

2.犯罪者

3.暴力団員、元暴力団員、暴力的不法行為をするおそれのある者

4.住居の定まらない者

5.古物商許可を取り消されて5年経過しない者

6.許可取り消しとなり、聴聞から処分決定までの間に返納してから5年経過しない者

7.心身の故障により古物商または古物市場主の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの

8.未成年者

9.管理者の業務を適正にできない者を、管理者に選んでいる

欠格要件の具体例

次に欠格要件を1つ1つわかりやすく丁寧に確認していってみましょう。

1.破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者

裁判所により破産手続開始の決定がされて、財産の管理処分権を失い、事業や営業活動も停止された状態(資格制限)の者を「破産者」といいます。

その後、破産者に課せられた権利の制限(資格制限)を消滅させ,破産者の本来の法的地位を回復した状態を「復権」といいます。この「復権」をした場合には、すぐに古物商許可を取ることができるようになります。

2.犯罪者

禁錮以上の刑に処せられ者、いわゆる刑務所に拘置する刑に処された場合、又は、古物営業を無許可で行ったり、許可の不正取得、古物商の名義貸し、営業停止命令違反で、罰金刑に処せられた場合、もしくは、窃盗罪、背任罪、遺失物横領の罪、盗品等の運搬や保管、盗品等の有償譲受けなどの罪を犯して罰金の刑に処せられた場合は、刑の執行が終わってから、5年間は古物商許可を取ることはできません。

ただし、執行猶予を言い渡され、刑の執行が猶予された場合は、執行猶予期間が終了することにより、古物商許可を取ることができるようになります。

3.暴力団員、元暴力団員、暴力的不法行為をするおそれのある者

暴力団員やその関係者など、反社会的行為行ったり、又は、行う恐れがある者、暴力団員による不当な行為等に関する法律により、公安委員会から命令又は指示を受けてから3年経過していない者、暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者、は古物商許可を取ることができません。

4.住居の定まらない者

住民登録されている市区町村(住民票に記載されている住所)に、住んでいることが必要になります。
住んでいる場合は、「住居が定まっている」と判断されます。

住んでいない場合でも、「住宅の建替え等で、やむを得ず一時的に、別の仮住まいに住んでいる場合」等の、合理的な理由があれば、例外的に認めてくれる場合もあります。

5.古物商許可を取り消されて5年経過しない者

過去に古物商許可を取得し、古物営業を営んでいたが、古物の法律違反により古物商許可を取り消された者は、取り消された日から5年間は許可を取ることができません。

6.許可取り消しとなり、聴聞から処分決定までの間に返納してから5年経過しない者

過去に古物商許可を取得し、古物営業を営んでいたが、古物の法律違反により古物商許可を取り消される可能性があるため、許可の取消しを回避しようと、取消前に自ら許可証を返納した場合、許可証を返納した日から5年間は古物商許可を取ることができません。

7.心身の故障により古物商または古物市場主の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの

以前は「登記されていないことの証明書」が法定添付書類とされていました。
これは
成年被後見人,被保佐人等の登記がされていないことを証明するものです。

こちらは不要になり、「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律(整備法)」の施行 により新しく規定されました。

現在は「精神機能の障害により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」とされいています。

8.未成年者

未成年者は古物商許可を取ることが原則できません。

ですが、婚姻(結婚)することにより成年者として扱われるようになるため(成年擬制という)、1度結婚をした人は古物商許可を取ることができます。

ちなみに、法人役員の中に未成年者がいる場合ですが、古物商許可は「法人」が取りますので、古物商許可を取るうえで欠格要件ではありません。

9.管理者の業務を適正にできない者を、管理者に選んでいる

「管理者」は営業所ごとに選任する必要があり、選任した管理者が欠格要件に該当してしまうと、古物商許可を取ることができません。

未成年者は「管理者」なることができない他、適正に古物営業を営むための技術や専門知識を求められたり、営業所ごとに、常駐に近い勤務形態を求められるため、「管理者」の住所が営業所までの通勤圏内であることが必要になります。

選任した管理者が適任であるかどうかの判断については、明確な基準が無く、警察の裁量による場合もあるので、ちょっと厄介な部分でもあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です